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江刺の風景。 [種山ヶ原 パート4]  11月9日


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詩 「種山と種山ヶ原 パート三」
宮沢賢治

この高原の 残丘(モナドノックス)

こここそその種山の尖端だ

炭酸や雨あらゆる試薬に溶け残り

苔から白く装はれた

アルペン農の夏のウヰーゼのいちばん終わりの露岩である






わたくしはこの巨大な地殻の冷え堅まった動脈に

槌を加へて検べやう

おゝ角閃石斜長石 暗い石基と斑晶と

まさしく閃緑玢岩である

じつにわたくしはこの高地の

頑強に侵蝕に抵抗したその形跡から

古い地質図の古生界に疑をもってゐた

そしてこの前江刺の方から登ったときは

雲が深くて草穂は高く

牧路は風の通った痕と

あるかないかにもつれてゐて

あの傾斜儀の青い磁針は

幾度もぐらぐら方位を変へた

今日こそはこのよく拭はれた朝ぞらの下

その玢岩の大きな突起の上に立ち

なだらかな準平原や河谷に澱む暗い霧

北はけはしいあの死火山の浅葱まで

天に接する陸の波

イーハトヴ県を展望する

いま姥石の放牧地が

緑青いろの雲の影から生れ出る

そこにおゝ幾百の褐や白

馬があつまりうごいてゐる

食塩をやらうと集めたところにちがひない

しっぽをふったり胸をぶるっとひきつらせたり

それであんなにひかるのだ

起伏をはしる緑のどてのうつくしさ

あちこちくっきりまがるのは

この高原が

十数枚のトランプの青いカードだからだ
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  ・・・・・・蜂がぶんぶん飛びめぐる・・・・・・

海の縞のやうに幾層ながれる山稜と

しづかにしづかにふくらみ沈む天末線

あゝ何もかももうみんな透明だ

雲が風と水と虚空と光と核の塵とでなりたつときに

風も水も地殻もまたわたくしもそれとひとしく組成され

じつにわたくしは水や風やそれらの核の一部分で

それをわたくしが感ずることは水や光や風ぜんたいがわたくしなのだ

  ・・・・・・蜂はどいつもみんな小さなオルガンだ・・・・・・

「宮沢賢治万華鏡」 より

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by 新米百姓 by ihatov-farmer | 2005-11-09 19:05 |  …江刺 種山ヶ原  TOP▲
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